ハワイに生息する、伝説の花『ナウパカ』の物語…。
ナウパカ、それは山の上もしくは海の近くにしか育たない花。
その花はまるで半分に割られたような、とても不思議な形をしているのです。
ハワイの伝説によると、その花が悲恋に終った古代ハワイアンの恋人達の生まれ変わりだと、言い伝えられています。
むかし、ナウパカという名前の美しいお姫様がハワイに住んでいました。
ナウパカはある日身分の低い青年に恋をしてしまい、悲しみに暮れていました。
なぜならハワイの伝統として、王族は決して身分違いの者と恋をしてはいけないことになっていたからです。
悲しみに打ち沈んでいたナウパカと恋人は、なんとかしてこの恋を実らせる方法を探そうと考えます。
そして、山の上に住む有名なカフナ(祈祷師)を訪ねて、その解決策を聞いてみました。
「悲しいけれど私には何もできない、ただここで祈るしかない」とカフナは静かに答えたのでした。
二人が祈り始めると、突然雨が降って来ました。
そんな中、涙ながらに最後の別れの抱擁を交わす二人。
ナウパカは自分の耳の上につけていた花を取り、それを半分に割りました。
そしてその半分を恋人に手渡しながら
「神は私たちが一緒になることをお許しになりませんでした」と悲しそうに言いました。
「あなたは海のそばに住んでください、私は山に残ります」とナウパカは恋人に伝えたのでした。
二人が別れるや否や、ナウパカの木はひっそりと育ち始めました。
そしてその翌日、普通の花の半分の形をした、ナウパカの花が寂しそうに咲いていたのでした…。